最近の葬儀事情について

間違って遺品を処分してしまった

田舎で1人暮らしだった祖母が亡くなり、息子である父と嫁である母、私と弟の4人で後片付けをしに行きました。いわゆる遺品整理です。父は1人っ子でしたが、仕事の関係で故郷を離れ結婚後も親と同居はしていませんでした。祖父が亡くなった時、さすがに1人にしておくのは心配なので、こちらに呼び寄せようとしましたが祖母はかたくなに拒否、住み慣れた土地を離れるのは嫌だと1人で暮らしていたのです。自宅で倒れているのを近所の人が発見し、病院に搬送されましたが翌日亡くなってしまい、父はとても後悔しています。遺品整理を行いながら、父がとても辛そうなのを見ると私たちも胸が痛みました。高齢者の独り暮らしだったからか、自宅は不用品であふれ整理も大変でした。取りあえず、貴重品は別にして明らかに処分しなければならないものはどんどん外へ出していきました。その中に、竹で作られたようなボロボロのケースもありました。私は中を確認したのですが、古い衣類が畳んで入っていたようなのでカビ臭いこともあり回収に来てくれた業者が来たときにそのまま積んでしまったのです。ところが、その日は一旦引き上げようという時になって、父が「行李がなかったか」と聞いてきたのです。行李とは、あの竹のケースのことでした。業者の車に積んでしまった事を告げると、父は真っ青になってしまいました。そして回収業者に連絡し、持って行った不用品の行方を尋ねました。すると幸いなことに、翌日処分場に持っていくためまだ車に積んであるというので家族でそちらに向かい、積みあがった不用品の中から行李を発見することができました。業者に迷惑をかけたことをわび、その晩宿泊するホテルで行李を開けてみると衣類の中から通帳と印鑑がいくつか出てきました。それは父名義の物で、かなり古くて金額もわずかなのですが毎月きちんと積み立てられた数字が几帳面だった祖母らしいなあと思いました。父によると、祖母は父が子供の頃から親に何かあった時はこの行李を開けて、自分でちゃんとしていくのよと教えてきたというのです。1人っ子である父を心配して祖母が大切に残そうとしたもの、それはお金ではなく祖母の想いだったのだと胸が熱くなりました。処分されなくて本当に良かったです。